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平成振袖事情リターン▶セールスは「価値観と価値観の交換」

公開日: : 平成振袖事情

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先日、振袖対象者がゆかたを見にやって来た。お母さんと妹とそして本人、身長150cmの色白、おとなしそうなお嬢さんである。ゆかたを買った後「レンタルの振袖は、いつ頃見にくればいいんですか?」と質問があった。ちょうど当店では夏の振袖展開催中。営業マンは今まで取り残したお客様のところへ躍起になって訪問活動をしているさなかである。

「今、ちょうど展示会をしている最中なのでみるだけでもいかがですか?」といって売り場へ案内し、ゆったりした中で販売締結完了。しかし不思議である。躍起になって訪問しているお客が来ないのに、ふらりとゆかたを見に来た客が振袖を購入していく
振袖販売を決定するファクターとは何だろうか?商品量、接客技術、企画、永年の歴史(知名度)、店内の雰囲気等々がお客様への信用となって会社が栄えてゆくものなのか。

多くのお客様は「今日、あの店に行って振袖を買おう」と思ってくる客はいないのである。「ちょっと見てみよう。」「買うのは先にしても時間があるから、ちょっと覗いてみよう。」しかし、呉服店の社員は買いに来てくれたと錯覚してアプローチしてしまう。したがって買うものだと思って説得しぬいてしまう。本当はそこに大きな落とし穴があるのだ。つまり、RELATION(良好な人間関係の構築:上質世界へ入る)なしで、締結に向かってしまう。

たとえて言うなら食前酒のないディナーのようなものである。

楽しくもないし、うれしくもないのである。物質文明の繁栄により満ち足りた生活の中でおなかの減っていない消費者は、ガツガツしていないのである。最終的にはメインディッシュを食べるのであるが、むしろワインを飲み、スープを味わい、同席した人との会話を楽しむのである。そういったプロセス自体がメインディッシュの味を引き立たせ、「今度また来よう!」「今度また食べてみよう!」と言うことになるわけである。

このことを我々は振袖の販売や、営業(勧誘)に当てはめてみたらどうかと思うわけです。
つまり、顧客はとりあえず見るだけと言うつもりで来店するわけであるが、店の入り口を入った瞬間に「いいのがあったら買ってもいいかな」と言う気にさせる社員の応対、品揃え、ディスプレイ、そして何より大切なのは顧客の願望を満足させられるだけのソフト(多くの経営者はそのソフトをサービスの羅列と勘違いをしているのだが。)がその店にあるかどうかである。つまり、きもの(メインディシュ)を買う前の 楽しい利他的会話(ワイン)、 着装前の商品説明(スープ)、そしてそれらをコーディネートする社員(ソムリエ)、それらが一体となって渾然と溶け合いすばらしいパワーを発揮するのだと思う。

そして、中でも社員(ソムリエ)が問題なのである。(通常の場合、経営者に問題のある場合が多いのであるが。) 、ソムリエはワインの種類はもちろん、作られた年代、味、風味、それにまつわる話、そして接客技術、緊急時の客に対する作法や扱いまでこと細かく要求される。また資格試験や国際的な大会まであるのである。

「きものを販売するのにそこまでできなくても!」と思っている経営者はたくさんいると思うが、売れればいいのだと思ってきたから、今のこのような状況に至ってしまっていることに気がつかなければいけません。

そして、このソムリエのような社員を育て上げるのが経営者の仕事であると心得るべきです。そしてもし、そのような社員がいなければ、そのような社員が集まるまで経営者自らが、販売の最前線に立ってお客様に応対すべきではないでしょうか。
また、そのソムリエ達を育て上げるべき勉強を経営者自らが必死になってすべき時代ではないかと思う。

そして、きものを着ることによって何が得られるのかを、辻説法をする修行僧のように、こつこつと説いて行くことが急務となっており、また会社の姿勢と言うか、方針にまで高めていく必要があるのではないか。

最終的にはお客様が満足をしなければ、その結果として商品は動いていきません。セールスは「価値観と価値観の交換」と言いますが、お客様の価値感(きものを買うことによって、どのような満足が得られるか)を満足させることによって、我々は経済的恩恵(販売する方の価値観)を受けるのだと言うことを、肝に銘じて商売をすすめていかなくてはなりません。

今、呉服専門店は非常に厳しい状況にあります。時代が変わって、パラダイムが変化して、顧客の意識が変わってきてしまいました。「今までのことはすべてリセットし、新しく創業するつもりで…」と言っても過言ではない時代です。

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