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平成振袖事情リターン▶レンズとレンズの違い

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今や呉服業界にとどまらず、全産業が来るべき21世紀に対応すべく、死ぬか生きるかの最後のあがきの様相を呈しています。

時代が変わるとき・・・・・。 それはパラダイムが変化してしまうときです。過去においてもペリー来航による江戸時代から明治時代への価値観の変化、そして太平洋戦争を境にした戦前と戦後の意識の変化など、前の時代の正しいことが正しくなくなり、以前どうでも良かったことがとても必要なこととなってきています。

そして今、急激な経済的なパラダイムの変化

パラダイムという言葉は、最近よく使われ出しているように思われますが、この語源は、古くはギリシャ語に由来し、理論・知覚・既成概念・仮定というような意味があります。一般的には我々が世界を見る見方であり、私たちの認識・理解・解釈を決めてゆくものです。ですから同じ事実がパラダイムの違うことで、違う意見を持ち、その両方共正しいということがあり得るわけです。そして、各自のパラダイムは、経験や家族・学校・会社・友達・宗教・社会通念によって変化してくるわけです。ですから、それが、人それぞれの行動や態度の源になってくるということを肝に銘じて覚えておかなくてはなりません。

私たちは、世界をあるがままに見ているののではなく、私たちのあるがままに(条件付けされたままに)世界を見ているわけです。つまり、自分自身のパラダイム(レンズ)を通してみているのです。

いよいよ、振袖が始まりました。
ご承知のように、以前とは違い、正月にまとめて売れるとか、一月に振袖が以前より売れなくなったからといって、年間で売れなくなるということではありません。もっと、根の深い部分、対象者の考え方の違い(以前の我々の考え方と比べ)が最近の振袖購買状況となっているのだと思います。

確かに、1回もしくは2回しか着ない着物となってしまった振袖ですが、それでも我々きものを扱うものにとって、振袖というのはとても魅力的な商品であるという事実は否めません。

だから余計に振袖の顧客の心理を考えていかなくてはなりません。
社会のパラダイムの変化につれて、人々の価値観も変化してきています。

どの様に変化してきているかといえば、
● 振袖は一回しか着ない。
● 一度だけなら、レンタルでもかまわない。
● もし買うとしても、自分に似合うものを探したい。
● お店の人に、お世辞を言われて買いたくない。
● センスのいいあわせ方がしたい。
● 買う時期は、自分で決めたい。
● とにかく、無理やりはいやだ。
● どことは決めずに、いろいろ見て、納得して買いたい。選びたい。
● 一年も先なので、ゆっくり選んでもいいでしょ!

ところが、呉服店のパラダイムは違います。
● 何回も着られます。
● 本当は、貸衣装ではなく、買ってもらいたい。
● お金のためなら、似合わないる振袖も、似合うといってしまおう。
● 相手の予算はどうあれ、とにかく高いものを薦めよう。
● とにかく、ほかで買われては困るので、来店したときに売ってしまおう。
● 早くしないといい柄がなくなってしまう。
※ この場合、私がお客であったならこう言い返します。「お宅では、少し売れると、すぐにいい柄がなくなってしまう位しか数がないのですか?」

それでも、売りたい、売りたい、売りたいのである。

お客様の購買心理は、最終的には感情です。どんなに論理的につじつまが合っていても、最終的には「感じがいいから」、「親切だから」、「誠実だから」、「私の話を理解してくれた」から買ってくれるのです。
そして、物質的なサービスの領域を越えたところで購買契約が成立するのです。

先日、こんなお客様が来店しました。
いろいろと他の店を見て回った後に、当店でブルーのきれいな振袖を見つけたわけです。本人は他の店のどの振袖よりも、当店の振袖が気に入ってしまいその振袖にしようと思っていたのですが、母親の希望により「もうちょっと考えてから」と言い、その日は契約までには至りませんでした。後日、お宅へ訪問し、先日見立てた柄をお見せしたところ、やはり、本人はもうこの柄にしたいと切望するわけですが、母親がどうしても赤い色の振袖を着せたくって着せたくって、どうしても譲れない様子でした。おまけに当日のヘアースタイルまで母親が決めようとしていたわけです。結局ローンまで書いて帰ってきたわけなのですが、次の日、母親から電話が入って「一月十五日の成人式を私が見てから決めますので、その日まで待ってください!」という結果になってしまいました。( 当然快く、結構ですよ!、と言って受話器を置いたわけです。)

ここで、私のお話したいことは次の2つの考え方です。
① どのような状況であろうと決定するのはお客様であるということ。
② しかし、これほどまでに相手(娘)のパラダイムを認めない人(親)がいるということ。
ですから、②の結果として娘は、泣き出しそうな顔をし、大喧嘩が始まる寸前のように感じました。
私は、この経験からいろいろなことを学びました。

まず、母親の気持ちで考えると、こうなります。
「この子は、いつも自分勝手で、私の言うことを聞かないで育ちました。だから成人式のきものくらいは、悪いけど1から10まで私の気に入ったようにさせてもらうわよ!、いいわね!」

そして、娘の気持ちで考えると、こうなります。
「一生に一度の成人式なのに、自分の好きな振袖でお祝いをしたい。もちろんお金は、お母さんが出すにしろ、それぐらいは娘の特権でしょ!. それに私はもう子供じゃありません。」

つまり、価値観と価値観の戦い

お互いが自分のパラダイムを人に押し付けあっているわけです。
こんなときどちらかが相手を理解することが必要になってきます。
このレンズとレンズの違いは、呉服屋と顧客との間にも繰り広げられているのが、現在の状況であると考えたほうが、どうも、良さそうな気がします。
自分を理解してもらいたかったら(商品を売りたかったら)、まず相手(お客)を理解してやることです。

まず、お客様の状況、意見、考え方を理解することが販売の第一歩となります。誠実さを持って理解することに集中することです。そういったプロセスの中から必ず、お客がこちらを理解し始める瞬間が出てきます。その状況になったらもうしめたものです。こちらの価値観と相手の価値観とが融合して第三の価値観つまり相乗効果という産物が生まれてきます。そしてお客様も満足、我々も満足という状況に至るわけです。

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